国際関係の構造変化如実に映す
対中政策も欧州主導で「デリスキング」に
広島で行われたG7サミット(主要7カ国首脳会議)は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領を迎え、ウクライナへのF16戦闘機供与などの新たな軍事支援や対ロ経済制裁の強化などで、G7の結束を固めることに成功した。
やはりゼレンスキー大統領がサミットに対面で参加し、被爆地である広島で戦争の悲惨さを語ったことは世界に大きなインパクトを与えた。
インドやブラジルなど対ロ経済制裁に参加せず中立的立場を取る国に対する働き掛けについてもゼレンスキー大統領の参加は一定の圧力となった。
だが一方で、目立ったのは米国の影の薄さだ。
かつては圧倒的な軍事力と経済力を背景に一国主義と言われるほど自己主張を通す傾向があったが、今回のサミットでは協調姿勢に終始し、対中国政策では欧州主導のデリスキング(過度な依存の回避)が打ち出された。
また気候変動やエネルギー問題だけでなく経済安全保障でも、インド、ブラジルなどのグローバルサウス諸国との関係づくりや連携強化が図られるなど、広島G7サミットは国際関係の構造変化を如実に映し出した。