「分断の時代」の広島G7サミット、結束強化だけで終わらせるなPhoto:picture alliance/gettyimages

対中ロ、核軍縮が主要課題
時代の節目、G7の役割問われる

 5月19日から広島でG7サミット(主要先進国首脳会議)が開かれる。

 主要な3つの課題は、ロシアのウクライナ侵略への対応と膨張する中国への向き合い方、そしてロシアの核使用や北朝鮮、イランの核保有が現実味を増す中で核軍縮の取り組みをどう強めていくかだ。

 ほかにも気候変動問題や脱炭素、金融システム、食糧などのグローバルな課題があるが、この3つの問題は、政治的・軍事的な緊張を高め、世界全体の先行きを不透明にするリスクに直結する。

 G7の経済規模が世界のGDPの7割に達していた90年代から4割に縮小した今、世界の政治経済にガイダンスを与えるG7の役割は大幅に低下したと言われて久しい。

 だが一方で、世界のGDPのおよそ8割を占めるG20(G7に中・ロ・ブラジル・インドなど主要新興国を加えた集合体)は、G7のような民主主義という共通の価値観を持つわけではなく、主要課題で合意を作るのは至難だ。

 世界の分断化という状況で、先進民主主義国の結束をもって対峙していくしか道はなく、G7の役割に再び光が当てられようとしている。

 その意味では広島サミットの役割は重要だが、G7の「結束強化」を確認するだけの機会にしてはならない。