日常生活において、思い通りにならないことは多々あります。ビジネスシーンにおいて、どんな役職に就いていたとしても、自分の思い通りになることの方が少ないのではないでしょうか?そんなとき、皆さんはどんな気持ちになり、どのような行動に出るでしょうか?今回は、機内で出会ったエグゼクティブの思い通りにならないときの対応の仕方についてご紹介します。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)
機内食には限りがある…CAが気をもむ瞬間
航空機にはさまざまなお客様がご搭乗になります。旅の目的もさまざまですが、国際線は長時間のフライトになることも多くさまざまなリクエストがあります。お好みの座席のご希望、お食事のご希望、お食事を召し上がるタイミングやその他特別なリクエストなどお客様のご要望は多種多様です。
CAはできる限りお客様のご要望にお応えするよう心掛けているのですが、ご要望によってはお応えしかねる状況も多々発生します。
例えば、ご希望されるお食事を提供できないケースです。これはファーストクラスに限らず、ビジネスクラスやエコノミークラスでも日常的に起こるケースです。
特に食事の搭載数は限りがあります。お客様全員分の食事数は搭載しているのですが、メニューにあるお肉やお魚、和食などのチョイスがすべてのお客様のご希望通りにご提供できるかどうかは別問題です。搭載されている限り、ある数の中でCAがうまく対応するしかありません。
お客様が召し上がりたいお食事のチョイスを、すべてのお客様に提供することができればご不満のないベストなサービスになるのですが、なかなかそうはいかないのが現状です。人気のあるメニューは早い段階でなくなってしまうのです。
そうなると、ご希望するお食事が召し上がれないお客様が出てきます。
あるフライトでの「事件」を紹介しましょう。和食を希望するお客様の直前で和食がなくなってしまい、そのお客様は大声で「不満」を言ったのです。しかし事態は意外な方向性へ転びました。そこにエグゼクティブの処世術が見えるようでした。