ドル円は一時140円台
しかし150円台は期待薄
ドル円は、200日移動平均線を超えて、昨年11月以来の円安水準となる140円台まで一時上昇した。今後、米債務上限問題が解決し、ドル円のボラティリティーが低下すれば、金利の高いドルを買う一方で円を売るキャリートレードが活発化する可能性もある。
しかしドル円は、昨年10月につけた151.95円の直近高値を更新できないと筆者は予想している。ドルの上昇サイクルは終わったと考えているからだ。ドルが上昇あるいは下降局面なのかを判断する参考材料として、ここでは米10年金利と日独仏英の10年金利の単純平均との差(米10年金利の相対的な高さ)を考えてみよう。
過去、米10年金利の相対的な高さがピークアウトすると、ドルの名目実効為替レートも下落局面に入ったことが多かった。米10年金利の相対的な高さは、昨年10月を天井に低下しており、ドル高が終わった可能性を示している。
また、昨年10月以降のドル安円高の調整幅や過去のドル円の値動きから考えると、ドル円が直近高値まで戻るとは期待できない。ドル円は昨年10月の円安のピークだった151円台から今年1月の127円台まで、終値ベースで約14%円高に動いた。ドル円が直近1年の円安のピークに比べて14%以上円高に動き、過去3年平均よりも円安側に位置したという2つの条件を満たす局面を1990年以降で抽出した。
該当するのは、1990年と1998年に円高に転換した後の2回である。いずれも一時的に円安に戻る場面はあったが、円高に14%動いてから1年以内に直近の円安のピークを回復できなかった。この経験則が有効ならば、ドル円は昨年10月をピークに円高に転換した可能性が高い。
ドル高局面終了でも
ユーロ高円安はあり得る
外貨投資をするならば、ドル高局面が終わったとしても、日本円に比べて上昇余地が見込める通貨を選べばよい。例えば、ユーロ円は一時151円台までユーロ高円安に動いたが、ユーロは円よりも強くなる要因が多いと考えられる。