民主、共和両党の合意を盛り込んだ財政責任法案が議会で可決され会見するバイデン大統領民主、共和両党の合意を盛り込んだ財政責任法案が議会で可決され会見するバイデン大統領 Photo:Pool/gettyimages

上限引き上げで民主・共和合意の法案可決
デフォルト回避も残る「危機」の構図

 コロナ・パンデミックやウクライナ戦争、さらには歴史的なインフレ、金融危機、ポピュリズム、食料不足、気候変動…世界は、危機と不確実性のただ中にある。

 直近で、注目を集めてきたのは、米連邦債務上限問題だが、民主、共和両党の合意を盛り込んだ財政責任法案が議会で可決され、バイデン大統領が6月3日に署名してようやく成立した。

 1月19日に政府の借金が法律で決められた約31.4兆ドルに達し、米国債の債務不履行(デフォルト)の期限だった5日を前にぎりぎりの調整が続いていた。

 上限の引き上げや効力停止で議会の承認が得られないと、国債の利払いすらできなくなり、米国債がデフォルトしたとなれば、世界強硬が引き起こされることになりかねず、世界経済の命運が米国議会の手に委ねられていたといってもいい状況だった。

 だが債務上限問題は「危機」なのか。