財政責任法、大統領署名し成立
デフォルト回避した民主、共和党
米連邦債務上限問題は、バイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が5月27日に基本合意した内容を盛り込んだ「財政責任法案」を、下院が5月31日、上院が6月1日にそれぞれ可決、3日にバイデン大統領が署名して成立した。
米政府債務の法定上限の効力を2025年1月まで停止する一方で、歳出削減で国防費以外の支出を24年度は前年度とほぼ同額に、25年度は1%程度の増額に抑えるというものだ。
政府の資金繰りが行き詰まると予想されていた「Xデー」の6月5日を前に米国債の債務不履行(デフォルト)は回避され、1月19日に政務債務が約31.4兆ドルの上限に達して以来、5カ月余りも続いた市場と経済の懸念は払拭された。
債務上限を巡る交渉は、民主、共和党の溝が深く、来年の大統領選の思惑も絡んでチキンレースという予想もあったが、土壇場で双方が歳出削減で大きく譲り早期の合意になった。
背景にあったのは、金融市場が大混乱に陥った12年前の恐怖の共通体験だ。