平成ブームなんて存在しない?
ずっと「レトロ」に囚われている
今や世は、空前の「レトロブーム」らしい。
今年1月、酒類の販売などを行うカクヤスが、メルマガを登録するユーザーに「レトロブームを感じることがあるか」と質問をしたところ71%が「感じる」と回答した。「ファッション」「お酒」「音楽」「商品デザイン」という順番でレトロブームの影響を目にしているという。
最近もマクドナルドが平成に発売したハンバーガーを復刻した「平成バーガー大復活」のCMが話題になった。令和も5年までくると、もはや平成も「レトロ」ということで、当時のヒット曲を流して「チョベリグ」なんて言う感じが、ちょっと古臭くて注目を集めているんだとか…。
という話を聞くと、「デジタルネイティブのZ世代からすると昭和の不便なモノとかアナログなデザインがエモいんだよ」とドヤ顔で語る昭和生まれの中年もいらっしゃるだろう。しかし、その認識はちょっとばかり正確ではない。
マスコミが「ブーム」と騒ぐので、この現象が何やら一過性のトレンドのように誤解させられているが、そうではない。実は「平成」に入ってから、「昭和」のものを懐かしみ、それをコンセプトとしてモノやカルチャーが支持されるという現象はずっと続いているのだ。
つまり、正確には「昭和・平成レトロブーム」なんてものは存在せず、日本人はこの30年間ずっと「レトロ消費」を続けているという状況なのだ。
なぜか。
ご存じのように、この30年というのは、日本経済が停滞していた「失われた30年」でもある。つまり、やたらと「レトロ」がもてはやされる風潮というのは、日本人が「高度経済成長期」「バブル経済」に思いをはせて、いつまでも「昔はよかったなあ」なんて現実逃避しているから、という可能性もあるのだ。
そう聞くと、「テキトーなことを言うな!だいたいレトロブームが30年も続いているなんて聞いたこともないぞ」と怒る人もいるだろうが、歴史を客観的に振り返れば、それは動かし難い事実なのだ。