「子供産まなくてよかったです、マジで」投稿に賛否、子育てパパが抱いた違和感とは写真はイメージです Photo:PIXTA

はてな匿名ダイアリーにて、「子供産まなくてよかったです、マジで」というエントリー(投稿)がひそやかに拡散されている。なお「はてな匿名ダイアリー」は、かの有名な「保育園落ちた日本死ね!!!」が投稿された、匿名で日記を執筆して発表できる大手サービス。筆者もそのエントリーを読んで、一児の父としていくつか考えさせられることがあった。なぜ「子供産まなくてよかったです、マジで」はバズったのか。筆者自身はその投稿について何を感じたか、などについて書いていきたい。(フリーライター 武藤弘樹)

子を持つか否か
自分の人生の正当性が問われる議論

「氷河期世代独身子無し」と名乗る投稿者(文脈から女性と判断できる)による、くだんの投稿は、「(自分が)子を持たなくてよかった」という思いとその理由についてが、つれづれなるままにつづられている。筆者も同世代だったことも手伝ってか、いくらか肉感的に記事を読むことができたように思う。
 
「子を持つか否か」についての議論は、令和5年の現時点では、荒れ模様である。現代日本は既婚や未婚というライフスタイルに関心が寄せられている時代で、成人のほぼ全員にとって人ごとではないから、対立派閥間で衝突が生まれている。
 
 また、現代を生きる人間の大前提として、「自分をより価値ある存在」だと思いたい本能がある。この本能は自分の選択(もっといえば、その選択の積み重ねである人生)を自動的に美化したり正当化しようと働く。だから子を持つ人も持たない人も、それぞれの選択を「良いものだ」と思おうとしている。
 
 しかし、この本能はしばしば、相手をディスったり、「相手より自分の選択の方が価値がある」と示そうとすることがある。自己正当化のために排他的・攻撃的になるのである。
 
 これが始まると、攻撃された方は当然自分の尊厳のために立ち上がる。激しい取っ組み合いを見ているような議論がそこかしこで行われることになるのだ。
 
 特に、「子を持つか否か」という二択は、個人の“選択”や“人生”に関わる事柄なので、トピックとしては盛り上がらざるを得ない。