クレディセゾン傘下の資産運用会社、セゾン投信の中野晴啓会長が実質的に更迭された。投資家やセゾン投信のファンドを扱う有力地方銀行の間では、動揺が広がっている。一体、何があったのか。解任劇の真相を探るとともに、筆者にだけ語った中野会長の「次の一手」について解説する。(共同通信編集委員 橋本卓典)
異様な解任劇の舞台裏
国内15万人、6000億円の運用資産残高を有する資産運用会社、セゾン投信に激震が走った。5月31日の取締役会で、創業者であり、顧客本位の資産運用業を実践してきた最高経営責任者(CEO)の中野晴啓会長が、選任されないことが決まったのだ。
6月28日の株主総会で人事案が決まれば、正式に退任する。事実上の更迭である。中野氏を信じてファンドに投資し、コツコツと積み立てきた投資家にとっては寝耳に水の解任劇となった。投資家の間では、ツイッターなどで公然と解約を表明する中野氏支持者も相次いでいる。
地方銀行業界にとっても他人事では済まない。セゾン投信のファンドは、インターネット証券、ゆうちょ銀行、JAバンクだけではなく、地方銀行では足利銀行、きらぼし銀行、横浜銀行、八十二銀行、滋賀銀行、ふくおかフィナンシャルグループの福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行でも取り扱っているのだ。
事態の異様さに輪をかけているのは、まるで何かを恐れているかのようなセゾン投信経営陣の沈黙だ。一体何が起きているのか。次ページでは、渦中の中野氏への独自インタビューを通じて、真相に迫る。