セブン解体#6Photo:keizo mori/AFLO

セブン&アイ・ホールディングスのそごう・西武の売却に伴い、行く末が案じられているのがクレディセゾンだ。クレディセゾンのカード事業は、西武流通グループを起点とした小売業とのタッグにより発展してきた歴史があるからだ。こうした先行き不安に目を付けたのか、旧村上ファンド系の投資会社が株を取得しており、揺さぶりをかけている。特集『セブン解体』(全6回)の最終回では、クレディセゾンの勝ち残り策と、“本当の課題”を追う。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

セブン&アイのそごう・西武売却によって
思わぬ火の粉を浴びるクレディセゾン

「打撃は免れない。西友の“離脱”もあったが、大丈夫なのだろうか」(クレジットカード会社幹部)

 セブン&アイ・ホールディングスが百貨店子会社そごう・西武の売却を決断し、優先交渉権を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに付与した。このことが、思わぬ企業に“飛び火”している。

 クレジットカード大手のクレディセゾンが、行く末を案じられるようになっているのだ。

 というのも、クレディセゾンはそごう・西武と浅からぬ関係にある。クレディセゾンのカード事業は、西武百貨店(現そごう・西武)や西友を中心としたセゾングループ(旧西武流通グループ)との連携を起点に、小売業とタッグを組んで発展してきた歴史がある。

 20年以上の長きにわたってクレディセゾンを率いる林野宏代表取締役会長CEO(最高経営責任者)も、西武百貨店の出身。そごう・西武についても、提携カード「クラブ・オン/ミレニアムカード セゾン」を、セブン&アイ傘下のセブン・フィナンシャルサービスとの合弁会社(セブンCSカードサービス)で発行している。

 本特集#1『セブン&アイのそごう・西武売却が八方ふさがり、買い手ヨドバシの「無理難題」に労組猛反発』で述べた通り、セブン&アイのそごう・西武売却交渉は難航を極めている。

ただ、もしフォートレスとの交渉が成立すれば、そごう・西武の百貨店としての事業は、継続が困難になる。それは提携カードの存亡にも関わるため、カード業界の関係者らがクレディセゾンの先行きに懸念を抱いているわけだ。

ところが、当のクレディセゾンはそごう・西武の提携カードの消滅危機は「織り込み済み」(クレディセゾン幹部)として、慌てふためく様子がない。

今年3月には西友との提携サービスも終了となった。村上世彰氏が関わる投資会社のシティインデックスイレブンスにも株を取得され、揺さぶりをかけられているが、同社はこの“難局”をどう切り抜けようとしているのか。

次ページでは、クレディセゾンの勝ち残り策と、“本当の課題”を追う。