条件面に関しては、住宅手当や自動車、メイドまで、海外駐在に必要な要素は全て要求。事業上、必要な予算もつけてもらって、AさんはX社への転職を決めました。

 しかし、ここからが問題でした。X社の本業の業績が、その後1年程度で想定以上に早いペースで悪化。海外事業は投資フェーズではあるものの、投資家からすると、まだ結果の出ないこの事業は無駄な投資であるように映ってしまいました。その結果として、X社の海外事業は後退させることに。Aさんは、それから会社に残ることはできませんでした。

 海外事業はひとつの新規事業であり、1年、2年ですぐに結果がでるものではありません。自動車のスズキで有名なインド事業の成功も、決してここ最近はじめたものではなく、進出からすでに30年という歴史があります。それにもかかわらず、Aさんがたった1年で会社を追われてしまったのは、周囲からの期待を最初から高めすぎてしまったからでしょう。社長や株主に期待させた結果がすぐに出なかったことが、Aさんの評価を下げてしまったのです。

<転職を失敗させないためのポイント>

 自分を売り込むこと自体は問題ありませんが、強く売り込めば入社後の期待も当然大きくなります。多少でも乖離があったり、会社の都合が悪くなければ、ポジションを外される可能性も高くなることを覚えておきましょう。

「人間関係」が理由の転職は要注意!
前職よりひどい上司に悩まされる恐れも

【事例②】
直属の上司と相性が合わないから…と
自分が権限を握れる中小企業に転職したBさん

 メーカーの管理部門に勤めていたBさん。人事系の部門でのキャリアが比較的長く、現場での経験もあるものの、今後は人事に関する専門性を高めていきたいという志向がありました。

 しかし、現職の会社では人事本部長との相性が合わないという問題が…。直属の上司であるうえ、そう簡単に一社員が上司を変えることはできません。この上司は、思いつきでの発言、指示出しが多く、加えて責任を取ろうとしない。成功すれば手柄は上司、失敗すれば自分の責任に近いような事例もあり、正直ご機嫌取りにも毎日疲れていた。