日本銀行の基調インフレ率見通し
──2022~25年度の平均──

物価上昇2%超を見通す日銀、利上げの判断が遅れた米国と同じ失敗をしていないか日本銀行の基調インフレ率見通し──2022~25年度の平均── *基調インフレ率=消費者物価から生鮮食品とエネルギーを除いたもの 出所:日本銀行「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」2023年4月

 日本銀行の4月の展望レポートでは、変動の大きい生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価上昇率見通しは、2022年度からの3年間平均で2.13%、25年度までの4年間平均で2.05%と、物価目標2%を超えている。生鮮食品だけを除くコア消費者物価も同様で、数字上は物価目標が達成される見通しだ。

 それでも植田和男・日銀総裁は、「2%にはまだ時間がかかる」と慎重だ。現在の一時的な高インフレが今年度半ばにかけて2%を下回った後に、賃金・物価と実体経済の前向きの循環メカニズムが強まる確信の度合いがまだ低いのだろう。背景には、利上げが早過ぎて物価目標を達成できなくなるコストの方が、利上げが遅れるコストよりも大きいとの考えがある。