中国の鈍い景気回復に直面している世界的な消費者向けブランド各社は、もう一つの懸念材料を抱えている。中国の消費者が国内ブランドにシフトしつつあることだ。つい5年前まで、中国の消費市場は外国ブランドが席巻していた。国内ブランドは品質の低さやマーケティングの弱さが足かせとなり、競争で苦戦していた。今では中国ブランドの多くの商品が、オンライン市場やショッピング街、店舗の棚に行き渡っている。各社は品質・デザイン・販売技術に対する評判を向上させてきただけでなく、消費者の嗜好(しこう)の変化に機敏に対応している。各社は、新型コロナ流行下で急拡大したライブ配信を通じた買い物スタイルに迅速に適応し、マーケティングに有名人のインフルエンサーや短編動画アプリを積極的に利用した。中国人の肌に合うアイシャドーパレットから、高麗人参入りの歯磨き粉、そしてオリンピック男子体操の金メダリスト李寧氏がブランド化した200ドル(約2万8000円)のスニーカーに至るまで、国内の消費者に合わせた商品を投入している。