頑張っても成果が出ない」「思うように考えがまとまらない」「他人からいつも評価されない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れた考え」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。

「プロジェクトを成功させるため」に絶対に言ってはいけない一言Photo: Adobe Stock

「何か一緒にやろうよ」は基本的に無視していい

「おもしろいこと何か一緒にやろうよ」と言ってくる人は必ず現れます。

「何かやろうよ」という人の、その発言は基本的に無視してください。

残念ですが大体が時間の無駄になります。

わたしも年に数人このような人と出会います。このときにわたしがとる行動は2つです。

「やりたいよね~」と言ってその場でその話を終わらせるか、その場で具体的に提案をします。そして次の日にはワードでまとめた簡単な企画書を送ります。

そうでもしないと絶対に実現しないからです。

「何かおもしろいことをやろう」と言う人は、積極的な人に一見見えますが、実は消極的な人です。

「何か」と言っている時点で、消極的な選択をしています。

「何かやろう」は「何か提案してください」と同じことを言っているのです。

これまでの経験上、基本的にこのような人とプロジェクトをはじめてうまくいったためしがわたしはありません。

これはお互いがプロジェクトに対してオーナーシップをもちにくいのが理由です。

わたしは相手に「何かやろう」と言われてはじめた、そして相手は提案されたという構造が、どちらも「自分ゴト化」しにくい状況をつくってプロジェクトが進まなくなります。

わたしは「何かおもしろいことをやろう」と言う人が悪い、と言っているのではありません。

ここで言いたいのは、そのような人と流れで何かをはじめてもうまくいかないということです。

お互いが受け身の状態になってしまうと、いいアイデアもうまくいきません。

そこで工夫です。

目の前の人と何か一緒に取り組みをはじめたいと感じたときは、絶対に具体的な提案をこちらからするようにしましょう。

間違ってもあなたのほうから「何かおもしろいことをやりましょう」と言わないようにしてください。

もしかするとこれはプロジェクトをダメにする呪いの言葉かもしれません。

せっかくできたつながりや人脈を、もったいない使い方に終わらせる言葉です。

誰かに会いにいくときはなおさら、相手の貴重な時間をいただいているという認識をもって伺うようにします。

相手が具体的に動けるものを提案すること。人生において有限な時間という財産を1時間でも渡してくれるということは、有難いことです。

だからこそ、それ以上の価値を相手に感じてもらう必要があります。そしてだからこそ、相手も魅力に感じる光るアイデアが必要なのです。

結局、人は自分がやりたいと思ったプロジェクトでないと、自分で前に進めることができません。

商流や利害関係のハッキリしている仕事とは違い、自分で進めていくモチベーションを保つことが難しくなります。だからアイデアは自分で考えることが大切なのです。

そして考えたあなたこそが、その考えを前に進めるべき人なのです。

(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)