平等に価値を置く国民の就職活動

 褒め言葉や「最高」という言葉がジャンテロウのメンタリティーに反し、平等ではない懸念すべき状況を作ってしまうのであれば、時には自分が人よりも優れていると証明しなければいけない就職活動のときはどうなるのでしょうか。コペンハーゲンのメンタルクリニックで管理課長として仕事をしているトーラさん(30歳女性)に聞いてみました。

トーラさん

 デンマークで就職活動をするときにどうやって自分を売り込みますか?

「私はこの仕事にとても興味がある、と言うわ。それから有言実行で一生懸命働きますから、信じて下さいとね。あ、でもそれはきっと他の人も言うわね。あとはその組織が意識している問題について話すわね……」

(米国留学の経験から)アメリカでは「他の誰もやらなかったけど、私が一生懸命頑張ってプロジェクトの成功に導きました!」と自信満々に言う人が時々いますが、デンマークではどうですか?

「私たちはそんな風には絶対に言わないわ。そんなこと言ったら、きっとジャンテロウで、自分のことを考えすぎじゃないかしら、ちょっと落ち着きなさいよ、言う前に見せて、と言われるでしょうね。自分のことを売り込むのはとても大変なの。仕事を探しているときは苦労したわ。

 他にもたくさん頭のいい人がこの仕事をほしがっているというのに、なぜ彼らが私を選ぶべきなのかってね。とても大変だったし、嫌いだった。友達もみんな嫌いって言ってたし、同じように苦労してたわ」

 あなたにとっての成功とはなんですか?

「とても難しい質問ね。……幸せでいることだと思う。それって難しいことだから。どうやって幸せになるの?お金持ちで、世界一クールな仕事に就けるかもしれない。でも、幸せを感じられないなら、それは成功じゃない。成功と言えるのかもしれないけど、永遠に続くものではないし、いい人生を生きているとは言えないわ」