シティグループが計上したサブプライム損失235億ドル。日本円にして2兆5000億円に上る巨額損失は、金融不安と米国景気後退懸念をふくらませた。日米の株価は下落し、米国から資金が逃避、円高ドル安が一気に進行した。サブプライム関連商品だけでなく、景気減速に伴う融資の焦げつきによる損失もふくらみ始めた。景気悪化はこれから本格化する。損失の底はまだ見えない。
サブプライム巨額損失がまたしても世界の資本市場を揺るがした。
1月15日のニューヨークダウは急落、前日比277ドル4セント安の1万2501ドル11セントで引けた。翌日の日経平均株価は大幅安。前日比468円12銭安の1万3504円51銭で引け、昨年来安値を更新した。
ニューヨーク株の急落は、1月15日に発表されたシティグループの2007年10~12月期決算におけるサブプライム巨額損失計上がきっかけ。同社は昨年公表していた損失額80億~110億ドルはおろか、市場の損失予想額100億ドル半ばさえ大きく上回る235億ドルの損失を計上し、98億ドルもの最終赤字を吐き出した。金融不安、景気後退懸念を抱いた資金は米国から逃避し、円高ドル安が進行、1月16日の東京市場では前日比1円27銭円高の1ドル=106円22銭を付けた。
シティが計上した損失のうち181億ドルがサブプライム関連商品。残りは消費者金融などそのほかの融資の焦げつき増加による。特に目を引くのは、サブプライムショックによる余波の大きさである。サブプライムローン関連の巨額損失に、「景気が冷え込み、個人の所得が減少し、融資の焦げつきが増える“いわば古典的な不良債権問題”」(中川隆・大和証券SMBC金融市場調査部次長)が追い打ちをかけている格好だ。
優先株公募に減配
迫られた苦渋の選択
シティは損失で傷んだ財務基盤を改善するために、昨年の追加損失計上時同様の145億ドルの優先株増資と減配を発表した。ここにシティ経営陣の苦悩が見て取れる。