救急車も自衛隊病院も、医療スタッフ不足や医薬品を買う予算がないので機能不全となっており、有事を迎えたときに自衛隊員はどうなるのか?平時には一般病院が119番で緊急搬送に応じてくれるが、有事でミサイルや弾丸が飛び交う状況になれば、一般病院には期待できない。

陸上自衛隊の野外手術システムの中の手術車陸上自衛隊の野外手術システムの中の手術車(筆者撮影)

 筆者は2020年に自衛隊救急車両を取材したが、その際、麻酔用の笑気ガスや薬剤棚が空っぽだったことに驚いた。有事には予算が付いて薬品類が準備されるとのことだが、平時には自衛隊救急車や手術車両には麻酔もなければ、医師も看護師もいない。事故リスクの高い訓練や演習時に救命救急に対処する予算すらない。

 平時にも使用できない救急車両はただの箱だ。せっかく税金で購入した救急車を有効活用できない予算と人材不足。この問題点を認識し、早急に自衛隊員へ向けての救命救急体制を再構築していただきたい。

 今回の事件を受けて、緊急時に自衛隊の要員不足を補う「即応予備自衛官」の射撃訓練に、防弾チョッキ装着の動きが出ている。武器弾薬庫警備や有事に基地警備担当となる即応予備自衛官は、敵から銃撃されるリスクを負う。銃の暴発事故の防護にも適切なレベルの防弾チョッキ装着の動きが、射撃の安全管理体制を再構築する第一歩であってほしいと願う。

ほとんど空っぽの自衛隊救急車の薬品棚ほとんど空っぽの自衛隊救急車の薬品棚(筆者撮影)

今年に入って相次ぐ
警察官による銃の不正使用

 自衛隊で起きた「陸自3人死傷銃撃事件」は殺人・傷害事件はあるが、銃刀法違反でもある。自衛隊員は職務で銃を使うことが許されているが、本来の目的以外の使用は銃刀法違反にあたる。これは警察でも同様だ。大きく報じられてはいないが警察官の拳銃の不正使用事例が今年は多発していることにも注目したい。しかも、政治の中枢である永田町や首相官邸で警察官が銃刀法違反による事件を起こしている。

 2023年1月27日、永田町のオフィスビルで機動隊員がトイレの個室で拳銃による自殺。現場となった永田町のビルは自民党党本部や国会議事堂の近くにあった。