CFOになったあとの2つのキャリアパス
さて、CFOになったあとのキャリアパスですが、欧米でも2通りにわかれます。
ひとつは、「プロCFO」として別の会社のCFOに就任するケースで、ポラット氏のようにまったく異業種のCFOに転身する例も珍しくありません。
次は、CFOからCEOに昇格するケースです。先ほど見た、「CFOに求められる3つの資質」は、いずれも経営トップであるCEOに求められる能力でもあります。このことから、欧米では、CFOはCEOの予備軍であり、有力候補である、と考えられています。
日本の大企業においては、CFOからCEOへの昇格は数えるほどしか例がありませんが、それでも最近、確実に増えています。
ソニーグループCEOの吉田憲一郎氏やNECの森田隆之社長兼CEOなどのほか、マネックスグループでは2023年6月にCFOの清明祐子氏が40代半ばでCEOに就任されました。また、CFOからCOO(最高執行責任者)になった例としては、第一三共の奥沢宏幸氏(社長兼COO)や2023年4月にソニーグループの社長兼COO兼CFOになった十時裕樹氏が挙げられます。
CFOとして、幅広い領域の知見があり、アニマルスピリッツと「CFO思考」を持ったビジネスパーソンが、営業や技術の面を補完して、会社のリーダーになるケースが今後も増えてくるものと期待しています。
*1 KPMGジャパン, KPMG Japan CFO Survey 2021
※この記事は、書籍『CFO思考』の一部を抜粋・編集して公開しています。