2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの奇跡Photo: Adobe Stock

私たちは「投げかけた言葉」そのものに囲まれる人生を歩む

 自分が向き合っている現象に対して、「自分の思い通りにできないこと」が、多くの人の「悩み」になっています。

 でも、じつは、「幸も不幸も、そう思う心があるだけ」です。自分の「思い」をなくせば、「悩み」は消えてなくなります。

 私たちは、「ゼロ(中立)」の現象を、自分の感覚で感想を言い、評価論評しながら、「気に入らない」と言っているだけなのです。

 相手を変えようとか、自分の目の前の現象を変えようと思っているうちは、問題は解決しません。宇宙には、もともと「問題などない」からです。

 問題などはないのに、「私」が「問題だ、問題だ」と言っているだけなのかもしれません。

 小林正観は、よく「職場にこんなひどい人がいて、上司が厳しい人で怒って怒鳴ってばかりで、取引先にも理不尽な人がいて困っています。どうしたらいいのでしょうか?」といった質問をいただくのですが、私の答えは、

「で、何が問題なんですか?」「辞めたいんですか?」
「いいえ、辞めたいわけじゃないんです」
「辞めたくないということは、勤めていたいんですね」
「勤めていたいんですけど、上司がこんな人で」
「じゃあ、辞めたいんですね?」
「いや、辞めたくはないんですけど、ひどい人ばかりで」
「で、何が問題なんですか?」

 です。

 辞めたくないのなら、文句を言わないでやればいい。辞めるのなら、文句を言わないで辞めればいい。どちらかです。

 どちらにしても、「文句を言っていること自体」がいちばんの問題です。その状態の原因をつくっているのは「その文句」だからです。

 宇宙には、「投げかけたものが返ってくる。投げかけないものは返らない」という法則があるので、「辞める、辞めない」よりも、「不平不満を言うか言わないか?」のほうが重要な意味を持ちます。

 たとえば、家族に対して、穏やかで、にこやかな投げかけをずっと続けてきた人は、自分自身も、穏やかで、なごやかな空気に囲まれます。

 反対に、怒って怒鳴って荒い言葉を投げかけてきた人は、同じように、自分もその状況に囲まれることになります。

 不機嫌を投げかけていけば、不機嫌を自分が招くことになります。笑顔でまわりに話をしていれば、笑顔に囲まれることになります。

 投げかけたものが、自分をつくります。

 だとすれば、「不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句(私はこの5つを「五戒」と呼んでいます)」を言わないで、「嬉しい・楽しい・幸せ・愛してる・大好き・ありがとう・ツイてる(私はこの7つを「祝福神」と呼んでいます)」といった「肯定的な言葉」を口にしたほうがいい。

 その人の口から出てくる言葉が、常に人を和らげるものであり、あたたかくするものであり、力づけるものであり、励ますものなら、その人は、「投げかけた言葉そのものに囲まれるようになっていく」のです。