新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はコマツ、クボタの「建設・農業機械」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
コマツ・クボタ共に大幅増収
北米の需要増
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の建設・農業機械業界の2社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(2社の対象期間はいずれも23年1~3月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・コマツ
増収率:27.5%(四半期の売上高1兆42億円)
・クボタ
増収率:31.8%(四半期の売上高7816億円)
両社とも3割ほどの大増収で、どちらも北米での需要が好調だ。
また、決算期が異なるが、コマツは23年3月期通期で営業利益が前期比54.8%増、クボタは23年12月期第1四半期(23年1~3月期)で営業利益が前年同期比54.6%増と、利益面も驚異的な増益を果たしている。
コマツとクボタは、値上げと販売増を高いレベルで両立させ、その両方が増収・増益の大きな要因となっている。多くの企業が羨望のまなざしを送りたくなる決算をたたき出している。
次ページ以降では2社の増収率の推移を見るとともに、利益面も見ていく。