内田誠社長注目テーマの多い今年の日産自動車の株主総会だったが、内田誠社長(写真)の対応は期待を裏切る素っ気ないものに終始した Photo:Bloomberg/gettyimages

注目を集めていた
日産の株主総会が開催

 日産自動車の第124回定時株主総会が、神奈川県・横浜の日産グローバル本社で6月27日に開催された。

 今回の株主総会はとりわけ注目を集めていた。最高執行責任者(COO)として日産再生を推進してきたナンバー2のアシュワニ・グプタ氏が突然、取締役と代表執行役を株主総会で退任すると発表されていたことや、6月20日には日産元会長のカルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで日産などを相手取り、名誉を傷つけられたとして10億ドル(約1400億円)の損害賠償を提訴するなどしていたからだ。

 また、今回の株主総会は、日産にとって積年の課題であった資本提携先の仏ルノーとの資本関係見直し議論が2月に「対等出資」で合意したものの、最終契約が遅れているといった不透明なガバナンスに対する経営側の説明も注目されていた。

 筆者は、ここ10年ほど日産の一般株主として株主総会に出席し、その全てを見届けているが、今回はルノーとの新提携の行方に大きな関心を寄せていた。

 この合意内容は、ルノーが保有する43%の日産株を15%に引き下げ、相互に15%ずつ出資(代わりに日産がルノーのEV分社のアンペアに最大15%出資検討)するというもの。つまり、1999年に日産を救済する形でルノーと資本提携して以来、24年もの間続いていたルノーと日産の「親子資本関係」が対等の立場になり、「新生日産」対する期待が高まっていたのだ。

 だが、残念ながら今株主総会の内容は、筆者を含め一般株主の期待を裏切るような対応をする経営側への不信と、内田体制へ一抹の不安を感じるようなもので終始してしまった。