1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。(初出:2023年7月9日)
精神年齢が実年齢どおりとは限らない
子育てステージを移行する際の心得として忘れてならないのは、前にも触れたように精神年齢を見極める必要がある、ということです。
私はこれまで4000人以上の小中高生を指導してきて実感していますが、実年齢と精神年齢が一致しているほうがレアケースです。
精神年齢の幼さがわかりやすいポイントは、「年齢相応の話をしても通じない」「先を見通して行動できない」の2つです。
精神年齢が高い子どもは、親から言われなくても明日の準備をします。
勉強の計画スケジュールも、テストから逆算してコツコツと進められます。
また、早熟な子は大人でも即答できないような抽象的な質問をしてきます。
そして、自分が知りたいことや気になることがあれば、先生に聞いたり本やネットで調べたりして自分から情報を取りに行きます。
成長が早い子は10歳前後から、自分の意見を言って自己主張するようになります。
それを反抗期と感じる親もいますが、自分の意思がはっきりしてきた子どもは自己裁量のバランスを増やしてあげて、任せていけばいいのです。
そういう子どもは少数派ですが、中学受験すると余裕で上位校に受かっていきます。
学校の勉強は退屈でつまらないので、受験勉強レベルの内容のほうが刺激的でおもしろく、ゲーム感覚でテンションが上がるのです。
小学生の成績は、成長が早めの子に有利にできている
逆に、精神年齢が低い子どもは、中学受験でも塾の最下位クラスから上がっていきません。
小学4年生の春に入塾して半年以上、最下位クラスのままで成績が低迷していたら、おそらく中学受験できるレベルに精神年齢が追いついていない「遅咲き」タイプです。
高校受験に切り替えることも考えたほうがいいでしょう。
このような違いから自分の子は早咲きか、遅咲きかを判断し、無理せずその子に合ったペースで子育てステージを移行することをおすすめします。
*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです。