おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

「高額療養費」制度をさらにお得に使うために知っておきたいことPhoto: Adobe Stock

高額療養費制度は「還付金」として戻ってくる

 前回の記事で、「一生、独身かも」と思ったら保険の見直しをしたほうがよいと書きました。しかし病気やけがに備える保険を検討する前に、その前提として、どんな公的保障があるのかを知っておく必要があります。

 健康保険に加入していれば、病院などでかかった医療費や薬代のうち実際に負担するのは3割です。さらにその負担額には上限が決められていて、その上限を超えた分を、あとから還付してくれる「高額療養費制度」という制度があります。

 上限の額は、収入に応じて決まります。

 仮に年収500万円の人が100万円の治療を受けた場合、窓口ではその3割の30万円を払います。でも、高額療養費制度のひと月あたりの自己負担の上限は8万7430円なので、差額の21万2570円はあとから還付金として戻ってくる、ということになります。

「健康保険限度額適用認定証」を取得しておけば差額を払うだけ

 あとから還付されるとしても、高額な医療費がかかる場合は、先に立て替えるのは大変ですよね。そんな場合には、事前に「健康保険限度額適用認定証」を健康保険組合に申請し取得しておきましょう。そうすれば、自分でお金を立て替える必要がなく窓口で限度額を支払うだけで済みます。

 高額な治療費になりそうな時は手続きをしておくと便利です。

 *本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。