おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

独身者が入るべき「医療保険」はこれだけでいいPhoto: Adobe Stock

健康保険制度の対象にならないものをチェック

 病気やけがをしても、医療費の負担自体は健康保険制度(高額療養費制度)があるのでそこまで大きくなりません。そのため「医療保険は必要ない」という方もいます。

 でも、ここで注意しておきたいのは、入院治療などをした場合、健康保険制度の対象とならないものが意外にあるということ。

バカにならない健康保険適用外の費用

 入院中の食費(標準負担額・課税世帯で1食460円)や差額ベッド代、保険適用外の治療にかかる費用は、高額療養費制度対象外です。特に差額ベッド代はあなどれません。

 私の義父は4人部屋でも1日5000円の差額ベッド代がかかりました。1人部屋は1日1万5000円でした。

 そして、独身者が大変なのは医療費以外の部分です。頼れる家族が身近にいない分、余計な費用が掛かる可能性があります。

 たとえば、寝間着やタオルなどの日用品も用意してくれる人がいなければ、病院でレンタルすることになります。下着などの洗濯を病院に頼めばその分費用がかかるし、ちょっとしたものも家から持ってこられなければ、売店で購入することになります。病院では買えないものを買いに行く、ちょっとした用事があるといった場合は自分が動けなくなると誰かに頼まなければなりません。友人に頼むといっても「タダ」というわけにはいかない。

 ましてや高齢になれば、病院の行き帰りもひとりではできず、介添えや家事代行サービスを頼む人もいます。このように、医療費以外の負担はバカになりません。

 また、先進医療も健康保険の対象外です。がん治療関連の先進医療などは高額です。先進医療を利用する確率は低いかもしれませんが、いざという時、お金がなくて治療をあきらめるなどということになったら、つらいですよね。

独身者が入っておくべき医療保険とは

 では、どんな医療保険に入ればいいのか。

 最低限必要なのは、「入院給付金5000円」+「手術給付金5万円」+「先進医療特約」です。

「入院給付金」は、差額ベッド代や入院中の雑費など、健康保険制度の対象にならないものに使います。入院日数は、日帰り入院でも出るタイプで、60日型の短いものでいいと思います。

「手術給付金」もあるといいでしょう。最近は、日帰り手術も増えていますので、日帰り手術に対応しているものがいいでしょう。大腸ポリープの切除や、白内障の手術なども日帰りで行われることが多いですよね。

「先進医療特約」もつけてください。月額保険料数百円で先進医療の治療費が2000万円まで補填されます。ちなみに医療保険でもらう給付金には税金はかかりません。

 昔に入った医療保険は、見直しをおすすめします。保障内容がよくなって、保険料も下がる可能性があります。

 保険期間は、一生保障が続く終身タイプがよいでしょう。

 払い方は、「終身払い」と「有期払い」があります。終身払いのほうが1回に払う保険料は安くなります。「終身払い」は、保険の見直しをする可能性がある人におすすめ。「有期払い」は、退職までの収入があるうちに支払いを終えたいと考える人に向いています。

 *本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。

【訂正】記事初出時より以下のように補足・修正しました。1ページ目「入院中の食費や差額ベッド代、保険適用外の治療にかかる費用は、健康保険制度の対象外です」を「入院中の食費(標準負担額・課税世帯で1食460円)や差額ベッド代、保険適用外の治療にかかる費用は、高額療養費制度の対象外です」と変更いたしました。読者の皆様にお詫びいたします。(2023年7月30日16:00 書籍オンライン編集部)