「お手頃に見える新築マンション」の
購入に潜むリスクとは?
冒頭では首都圏における新築マンションの平均価格を示したが、分析対象を都区部(東京23区)だけに絞り込むと、13年実績は5853万円、22年実績は8236万円と40.7%アップである。
先ほどの首都圏の27.6%アップと比較すると、上昇率は約1.5倍になる。このようにエリアを細分化していくと、価格の上昇率も高まっていく。
こうした現象が起きるのは、首都圏全体の新築物件の中で、最も価格の高い都区部が占める割合が減っているからに他ならない。
都区部の物件の割合が減り、単価が低い郊外の物件の割合が増えれば、首都圏全体の平均価格も大きく上がらなくなる。新築平均価格が上がりにくい一つ目の理由は「立地の悪化」なのである。
もう一つ平均価格が上がりにくい理由がある。それは物件の面積が小さくなっていることだ。同じ3LDKでも面積を小さくすれば、価格は抑えられる。
実際、首都圏のマンションの平均面積は13年に70.72平方メートルあったものが、22年には66.12平方メートルまで減っている。
ただし、このような要因で「お手頃価格」に見える新築物件を買った人は、転居などでその物件を手放す際に注意が必要だ。
理由は言わずもがなだが、立地が悪くなるにつれて物件の資産性は低くなる。同じく、買いやすさの一因となっていた面積縮小は居住性の低下に直結し、資産性は低くなる。
また、面積が狭い新築物件の中には、一見すると安価だが、実は「面積単価」という観点では割高な物件も潜んでいる。そうした物件も買い手を見つけるのが難しくなる。
日本では「新築信仰」と呼べるこだわりを持ち、これまで述べてきたようなデメリットに目をつぶってまで新築を探したがる人が多いのも事実である。
しかし当然のことながら、たとえ築浅でも、中古市場に出回った物件は「新築信仰」の対象から外れる。不便な点を許容して買ってくれる客は激減するのだ。