「築古リノベ物件」売買に潜む大損リスク、不動産会社の“儲けの手口”に要注意Photo:PIXTA

新築マンションの価格高騰に伴って、「築古リノベーション物件」に興味を持つ人が増えてきた。価格を抑えつつ、新築のような真新しい内装の家に住めるとなれば、一般消費者の目には魅力的に映るだろう。だが、こうした物件の安易な購入・売却には大損リスクが潜んでいる。築古リノベ物件が市場に出回るカラクリと併せて、安易に手を出してはいけない理由を説明する。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

築古リノベを買っても大丈夫?
筆者に寄せられる相談への答え

 筆者は最近、「築古のリノベーション物件を買ってもいいですか?」という相談を受けることが多い。昨今は新築や築浅の物件価格が高いからこそ、「少しでも価格を抑えて良い物件を買いたい」という消費者心理が働くのだろう。

 だが端的に言って、そうした物件の購入はあまり良い選択ではない。転居などに伴ってリノベーション物件を売るときに、初めてその理由を知る人も多いはずだ。それでは遅いので、買う前に知っておこう。

 築古のリノベーション物件を手掛けているのは不動産事業者であり、一般個人ではない。不動産事業者は事業でやっているので、利益を出さなければならない。各社は物件を買い取ってリノベーションし、売却することで利益を上げている。

 だが、不動産事業者がリノベーション前の物件を仕入れる際も、一般個人と同じくお金がかかる。仲介手数料、不動産取得税、ローン金利など、購入価格の5~10%を別途負担しなければならない。

 その後にリノベーション工事をするわけだが、水回りを取り替えるだけでも300万円、間取り変更を含むと1000万円程度かかる。一連のコストがかさむため、物件の「仕入れ原価」は、たいてい相場の2割近く安くないと利益が出にくい。

 しかし、そんな格安物件は、不動産事業者向けの物件検索サイトにも一切載っていない。ではリノベーション事業者は、改装を施す物件をどこから仕入れてくるのか。