本シリーズの1~3回では、今後、急速に人口の拡大するシニア市場を取り上げた。4~6回は拡大・多様化する女性消費をどう取り込むかについて検討する。今回はどうしていま女性市場が注目されるのか。その3つの理由を述べる。

男性の雇用者数は減
一方、働く女性は増加

かたおか・としひこ
早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了。1993年三菱総合研究所入社。専門は消費者動向分析、市場調査・予測。共著に『フロネシス06「消費のニューノーマル」』(丸善プラネット)、『3万人調査で読み解く日本の生活者市場―ニューノーマルがわかる88のポイント』(日本経済新聞出版社)。

 女性市場に注目すべき理由の1つ目が、働く女性が増加していることである。総務省「労働力調査」をみると、男性の雇用者数は1997年をピークにすでに減少している一方、女性の雇用者は増加を続けていることがわかる(図1)。

 そして、女性の就業率は、将来的にも上昇していくと予測される。

 既婚者においては、共働き世帯数が、片働き世帯を1997年に逆転している。女性が社会とのつながりをもちたいという意識を高めたこと、仕事を通じて自己実現を図りたいと考えるようになったこと、また、妻が働くことで家計を補うようになったことなどが、その背景にある。特にボリュームとして大きいのが、結婚や出産で仕事を辞めた人が、職場に復帰するケースである。

 さらに、シングルにおいては、結婚しないという選択をしたり、晩婚化が、就業率を向上させる(図2)。