2023年の首都圏中学入試の受験者総数は過去最高を記録した。開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕、武蔵、海城……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。VAMOS代表の富永雄輔氏は、最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』で、子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」を提唱し、圧倒的な支持を集めている。本稿では、富永氏が登壇したオンラインセミナー(2023年6月2日開催)より、「中学受験の人気が高まっている理由」を解説する。
大学受験の変化が中学受験にも波及
富永雄輔(以下、富永):大学受験はここ10年間で劇的に変わってきていて、保護者の皆さんが経験した大学受験とは全く別のものになっていることをご存じでしょうか。
入試問題の傾向が様変わりしていることもそうですが、指定校推薦やAOなどを含めて、大学受験の枠組み自体が大きく変わっています。
特に、いわゆる難関私大と呼ばれるような大学では、指定校推薦や付属校からの進学で、多くの入学者を確保するようになってきています。
実は、こうした大学受験の変化が、中学受験にも大きな影響を及ぼしています。
指定校推薦に力を入れている中高一貫校が増えている
富永:ざっくりとした一般論で言えば、偏差値が高い中高一貫校ほど、大学受験において一般入試を受けさせる傾向が強まります。
一方で、中学受験でサピックスの偏差値45以下、四谷大塚の偏差値55以下の学校は、指定校推薦に非常に力を入れるようになっています。
そうなると、「わが子の大学受験は、推薦の方がいいだろう」と考える家庭にとっては、中学受験で無理に上位校を目指すのではなく、中堅校に入学して指定校推薦で希望の大学へ進学するという戦略が、大いに有効になるわけです。
実際に、推薦の枠が増えたことで、人気や偏差値がグングン上がっている私立がたくさんあります。
保護者の皆さんは、自分が経験した教育の枠組みと、今の教育の枠組みが、大きく異なっていることを前提に、中学受験を考えてください。
指定校推薦の枠を公開している私立の中高一貫校は多いので、志望校を選ぶ際にも、まずは各学校のウェブサイトや説明会で情報収集をしてほしいと思います。