中国の消費やトレンドのリーダーと言われるZ世代の若者。彼らは人口14億人の約2割、約2億6000万人いるが、SNSネイティブ、既存の考え方にとらわれないなど、30代以上の中国人とは、発想や価値観の点で異なることが多い。今回紹介する18歳のアーティスト、クロエ・チェンは、Z世代の3割の人口を占める05后(リンウーホー、2005年以降の生まれ)の一人。05后かつ富二代(富裕層の2代目)という彼女は、一体どのような生活を送っているのか。一般化して語ることはできないが、彼女へのインタビューから、今の中国の若者の雰囲気を感じ取ることができた。読者の皆さんの思う「中国人像」からも変わってきているのではないだろうか。(ジャーナリスト 中島 恵)
2005年北京生まれ、
3歳から創作を開始した18歳のアーティスト
5月末、東京・原宿のギャラリーで個展を開いたというクロエ・チェン(Chloe Chen)氏。フクロウをモチーフにした独創的な作品やフィギュア、グッズなど約20点を展示し、自身初となる展覧会を成功させた。
2005年に北京市の富裕層の家庭に生まれ、幼い頃から絵画の才能を開花させた。5~6歳の頃に絵画教室に通ったことがあるというが、その後はほぼ独学。インタビューに同席した母親によると「幼い頃から何事にも敏感で、物事の捉え方が変わっていた。娘の独特の発想や絵の才能をできるかぎり伸ばしてあげようと、本人を束縛しないように育ててきた」という。
中国の同世代の若者といえば、今年も6月上旬に実施された「高考」(大学統一入学試験)が日本でもよく知られている。有名大学への進学を目指し、長時間、受験勉強に励む高校生が多いが、チェン氏の場合、そうした生き方は選択せず、中国国内の教育は中学の途中までしか受けていない。
14歳でアメリカに渡り、専門学校でアニメなどを学んだ後、16歳のときに来日。都内の専門学校で漫画を学んだ。現在は北京に戻り、自身のアトリエで絵を描くほか、たくさんの本を読んだり、インスタグラムなどSNSで情報を発信したりている。今後、再びアメリカに渡り、日本にも来る予定だ。これまでに日本をはじめ、世界数十カ国を旅して見聞を広めたことが、自身の創作活動の役に立っていると話す。