計算はできるけれども、理解はしていない

 誤った回答をした方は、失礼ながら割り算の計算方法は知識としてあるが、割り算がいったい何なのか、を理解しないまま大人になってしまった方です。

 よく考えてみてください。
 6を2で割った数と、6を6で割った数では、答えは違うのは当然です。
 つまり、割り算は割る数を変えれば、答えも変わってしまいます。ということは、「6÷2」という数式が登場したら、何があろうと必ず6は2で割らなければならない。要するに今回のケースでは、勝手に2×3を先に計算して割る数を変えてはいけないのです。
 とても大切なことなので、繰り返します。

割り算は、割る数を変えれば答えも変わる

 この割り算の原理原則を知らずに機械的な作業をしているだけだと、今回のような誤りが起こります。そして、(ここが大切なポイントなのですが)誤っていることすら気がつかないのです。

 さて、算数の話ばかりで、このコラムをお読みの皆さんはフラストレーションが溜まってきた頃でしょう。そろそろビジネスの話にシフトしてまいります。

「割り算」に操られるビジネスパーソン

 御社のスタッフは、社内でこんな会話をしていないでしょうか?

 Aさん「先月の成績から、平均顧客単価を算出したらX店がもっとも優秀だった」
 Bさん「いや、でも売場面積あたりの売上高はY店がもっとも優秀だった」
 Cさん「で、結局どの店舗が最も優秀なの?」
 全員「……?」

 この会話に違和感を覚えないとしたら、とても危険です。私から見ると、「何を言っているのだろう?」です。理由はとても簡単。

 違う数値(指標)で割っているのだから、出てくる数値(評価)も違うのは当然ではないでしょうか。

 XとYどちらが?という議論自体が、ナンセンスなのです。正しい解釈はこうです。