1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。

【4000人の学習指導から確信】「自分から勉強する子」になるターニングポイントPhoto: Adobe Stock

「自分から勉強する子」になるきっかけは親が自分の人生を楽しむ姿から

 人は心が満たされて自分が幸せであれば、他者にも寛容になれます。

 大人も子どもと同じで、楽しく生きていると自己満足度が上がるため、人の欠点も気にならなくなります。

 逆に、自分が楽しめることがなく、日々不満や不安を抱えてモヤモヤしている人は、他人のことが気になって無意識のうちに欠点やあらを探しはじめます。

 この違いが顕著に表れやすいのが、子育て中の母親という状態なのです。 

「子どもの悪いところしか見えずイライラします」という悩み相談も、これまで数えきれないほどありました。

 今も毎日のように同じ悩みが寄せられますが、解決策はあります。

 まず、親自身が楽しいと思えることを最優先することです。

 おもしろそうなドラマや映画を観てもいいですし、甘い物が好きなら評判のスイーツを食べに行ってもいいでしょう。

 旅行が好きなら、子どもと一緒に旅行に行って観光や食べ歩きなど親が楽しめば、子どもも自然と笑顔になるはずです。

悩みの原因はほとんど親の不安定な心にある

 子育ての悩みの原因は、子どもではなく、ストレスをためこんでいる親の不安定な心から生まれているケースがほとんどです。 

 親が、不満や不安いっぱいのしかめっ面で、朝から晩まで「勉強しなさい」などガミガミ言っていたら、子どもの成績は伸びるどころかしぼんでしまうでしょう。

 逆に、親が日々ワクワクする感覚を持ち、人生を楽しんでいれば、その姿を見ている子どもにもワクワクが伝わって、やる気が出てきます。

 それをサポートしてあげると、いつか「化ける」瞬間が来るのです。

 信じられないかもしれませんが、私が今まで見てきた子どもたちが「自分から勉強する子」になるターニングポイントは、まさにそこなのです。

*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。