1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。
子ども時代の自分に伝えるつもりで話すこと
みんな昔は子どもだったわけですが、親になると自分のことは棚に上げて、子どもに無理難題を押しつけてしまうのはなぜなのでしょう?
あなたがもし今、10歳の子どもだとして、「なんでできないの?」「勉強しなさいよ」「だからダメなのよ」と言われたら一気にやる気が失せますよね?
子どもの立場にならなくても、誰でもわかることです。
大人のあなたに対してパートナーや親から、「なんで料理できないの?」「ぐずぐずしてないで早く掃除しなさいよ」「だからアンタはダメなんだよ」と言われたら、どう思うでしょうか?
人格否定は完全なモラルハラスメントですし、「やりなさい」と言われてやる気になるわけがないと、自分が言われれば気づくはずです。
子どものころの自分に伝えるつもりで話す
そこで提案したいのは、自分に伝えるつもりで子どもに話をすることです。
私は以前、東洋経済オンラインの連載「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」で、「20歳だった自分に伝えてあげたい『10のこと』」という記事を書きました。
これは、20歳に限らず何歳でも応用が利きますし、次のようなメリットがあります。
①親が子ども時代の「気合、根性、努力」という古い価値観より、「楽しいこと、おもしろいこと、好きなことを大切にしてほしい」と現代の価値基準で伝えられる。
②自分に伝えるメッセージなので上から目線のネガティブなことは言わなくなる。
③親も自分の子ども時代を思い出すため、「親にこう言ってほしかった」「そういえば自分もできないことがいっぱいあった」など子どもの気持ちが理解できる。
ちなみに私が20歳だった自分に伝えたいことも、「自分の長所を生かせることをする」「好きなことを仕事にしている大人に会いに行く」など、今の自分の価値基準と同じことばかりです。この3つのメリットを意識して、ぜひお子さんと話をしてみてください。
*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。