山梨県で「人口減少危機突破宣言」が出されるなど、減り続ける日本の人口。外国人の受け入れについて長年議論されているものの、実は30年前のその結果は変わらず、何も進んでいないと日本国際交流センター執行理事・毛受敏浩氏はいう。その詳細を『人口亡国 移民で生まれ変わるニッポン』(朝日新書)より一部を抜粋、再編集し、紹介する。
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人口減少と少子高齢化が大問題であることが一般の市民にまで広く認識される時代になったが、その解決策として外国人の受入れ、あるいは移民政策についての考えはどのように変化してきたのだろうか。これまで行われてきたさまざまなアンケート調査を掘り起こして国民の意見を探ってみる。
驚くべきことは、国民の外国人、移民に対する感情は30年前からまったく変わっていないということである。変わっていないとは、移民への反対論が定着しているという意味ではない。受入れについては反対よりも賛成がやや多く、「どちらともいえない」が最も多い傾向がある。そして、最も懸念することとして、現実と異なる犯罪の増加の認識と、日本社会が外国人受入れの準備ができていないことが共通して挙げられている。
このことは人口減少が深刻化しながらも、日本として外国人受入れ政策に関して進展がなく、その結果、国民の感情も1990年代から置いてきぼりにされたままになっているということを示している。
日本人の移民に対する意識がここ数十年、大きく変わっていないということは、現状が続く限り、同じような認識が今後も継続するということだ。つまり、日本人の移民受入れに対する意識が完全に転換するのを待って、受け入れを開始するという姿勢は間違いということを意味する。なぜなら、自然にそうしたことが起こるとは言えず、国民の意識がポジティブに向かう状況を作り出すことこそが政府の責務であり、そうなるような働きかけと、国民が安心できる政策を行う必要があるということだ。