二つの解釈によって正反対の見え方
山下氏の「含みのある物言い」
経緯を見ると、2通りの解釈が生まれるのを筆者は観測している。それは、「『松尾氏が切られた(契約解除された)理由は、松尾氏がジャニーズ性加害問題に言及したからという一事のみ』を真と見るか否か」である。
これを真と見れば、松尾氏は勇気を出して社会正義を全うしようとしただけなのに、理不尽にも事務所から契約を解除された被害者となり、小杉氏・山下氏はジャニーズ事務所に忖度をして性加害を(問題について提言する人を放逐する形で)容認する社会悪となる。
また、松尾氏は「小杉氏からそのことが理由で契約解除を持ち出された」と話している一方、山下氏は「それは一因であるが他にも色々ある…がここでは言わない」と語っている。山下氏の含みのある物言いには、「本当は松尾氏の契約解除にはジャニーズへの言及しか理由がないのに、山下氏が『他にもあるけど…』的なにおわせをして、松尾氏の印象を悪くしようと姑息(こそく)な操作を行っている」ようにも映る。
一方、「契約解除の理由がジャニーズ問題ただ一点のみ」というのが真でないと見れば、「小杉氏も山下氏も、語るのを控えた部分があったけど、他の理由も重なって松尾氏は契約解除されたのだ」という解釈となる。
この解釈の場合、山下氏の含みのある物言いは守秘義務の順守かあるいは松尾氏をかばう意図を持ち、ジャニーズ性加害問題と松尾氏のそれに対する言及はあくまで契約解除の理由の、いくつかあるうちのひとつにすぎず、小杉氏・山下氏がジャニーズに忖度している線は薄くなる。
この2通りの解釈が2通りの前提を生み、議論を平行線に持っていっているのだが、炎上がここまで強くなっているのは、他のポイントに理由がある。山下氏は、いってみればラジオで失言をして、それが炎上を招いていたのである。