インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【投資のプロが教える】お金を増やすなら知っておきたい、資産運用のコア・サテライト戦略とは?Photo: Adobe Stock

サテライト運用に使えるアクティブファンドは?

 資産運用の世界には、ポートフォリオをコア(中核部分)サテライト(その他の部分)に分け、コアを安定的に運用しながらサテライトで積極的にリターンを狙う「コア・サテライト戦略」という考え方があります。

 本連載で提案する積極運用の部分については、世界株式ファンドがコア(メイン)となります。これに加え、リターンを高めることを目指して、サテライト(サブ)として組み入れられるアクティブファンドを見ていきましょう。

 今回取り上げるのは、「アジア・アセアン地域に投資する株式ファンド」と「日本の小型株に投資する株式ファンド」です。

アジア・アセアン地域に投資する株式ファンド

 アジア・アセアン地域に投資するファンドを組み入れる狙いは、今後のこれらの地域の成長を取り込むことにあります。もちろん、今回ご紹介する世界株式ファンドにもアジア・アセアン地域は含まれますが、比率が非常に小さいのです。

 下のグラフは、過去15年の主要株価の推移を比較したものです。

 ご覧いただいておわかりのとおり、過去15年は米国株が世界の株式市場を主導してきました。マーケットを牽引したのはGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)やテスラのようなテック企業であり、新興国の株価はほとんど横ばいといっていい状態だったのです。

 では、今後はどうなるでしょうか? 株式市場でメガテック企業が息切れ気味であることは、読者の皆さんもご存じでしょう。

 これから10年、20年後を考えたとき、世界の変化の中でマーケットの主役が少しずつ変化していく可能性もあるかもしれません。少なくとも、新興国株が非常に割安に放置されていることは間違いないように思います。

 もちろん新興国株を運用のコアにすべきだとまでは思いませんが、たとえば私が積極投資の中心としてお勧めしたインデックスファンド「雪だるま」は、米国株がポートフォリオの約6割を占めています。

 今後も米国が10年、20年と世界を引っ張っていくのかどうか不透明な中、新興国の成長に期待するのであれば、もう少し新興国株をポートフォリオに組み込んでいってもよいのではないかと思います。

(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。