インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書だ。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。
値動きのある金融商品は当然、
値下がりすることもある
下図をご覧ください。たとえば、100円で買った金融商品が120円に値上がりしたとき、そこで「よし、2割儲かった」と判断して売ることができるものでしょうか?
おそらく多くの人は、「2割上がったのだから、もう少し上がるかもしれない」「130円、いやもしかすると140円になるかもしれない」などと考え、売却をためらうでしょう。
しかし、値動きのある金融商品は当然、値下がりすることもあります。保有し続けるうちに値下がりし始めると、115円まで下がったときに「これ以上下がったらどうしよう」と考えて売却するといったことになりがちなのです。
100円で購入した金融商品が、どんどん値下がりして70円まで下落するといった値動きをすることもあります。このような場合、多くの人は価格が100円に戻ったところで「やれやれ、これで損失を回避できる」と考えて売ってしまいます。その後に130円まで上昇する可能性があっても、もう待つことができなくなるのです。
このようなやり方では、損失は出ないかもしれませんが、投資した意味がありません。
多くの投資家は
「高く買って安く売っている」
ここで、投資のタイミングを計る難しさを示すデータを見てみましょう(下図)。このグラフは、TOPIX(東証株価指数)と国内公募投資信託の資金流出入額の推移を示したものです。
公募投資信託に資金が流入しているのは投資信託を買っている個人投資家が多いとき、流出しているのは投資信託を売っている個人投資家が多いときです。
上のグラフをチェックすると、TOPIXが上がっているときは皆が投資信託を買い、下がっているときは売っていることがよくわかるでしょう
「安く買って高く売る」ことで儲かるはずなのに、多くの投資家は「高く買って安く売っている」のです。
タイミングを計って投資しようとすると、「今は買うべきか、買うべきではないのか」などとつねに頭を悩ませることになります。それよりは、積み立てで機械的に一定額ずつ買っていくのが、効率がよく合理的な方法と言えます。