AIシンポジウムであいさつをする岸田文雄首相AIシンポジウムであいさつをする岸田文雄首相(7月4日) Photo:JIJI

「シンギュラリティ」はすでに到来?
AIの進歩「火や電気より深遠な影響」

「ニューヨーク・タイムズ」(2023年6月11日)に掲載されたデイヴィッド・ストレイトフェルド記者の論考は、「シリコンバレーがシンギュラリティの到来に直面している」とした。

「シンギュラリティ」(技術的特異点)とは、AI(人工知能)の急速な進化によって、人間が理解できないほど高度な能力を持つ機械が出現することを指す。

 人と機械の立場が逆転し、人間が理解できるスピードより、AIが発展するスピードの方が早くなる。変化は劇的で、指数関数的、かつ不可逆だ。

 多くの人々が、AIの急速な進歩を見て、AIが人間を超える日がいつかは来るかもしれないと不安を覚えつつ、「AIが人の仕事を奪うほど賢くなるのはだいぶ先のこと」と考えていた。

 しかし、シンギュラリティは、ChatGPTの出現によってすでに実現してしまったのではないだろうか? これが、ストレイトフェルド氏の論考が指摘するところだ。

 GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏は、人工知能を「火や電気よりも深遠な影響を持つ。われわれが過去に行ったどんなことよりも深遠」と述べた。今我々はそんな未知の時代に入ろうとしている。