
齋藤尚登
習近平がブチ上げた大中華の夢「2020年代に米中経済逆転」が叶わないワケ
少子高齢化の進む中国。1人っ子政策の廃止後も出生率は低下し続け、人口は2021年をピークとしてついに減少に転じた。2012年に中国共産党のトップに就いた習近平は、かつて「中国の夢」(=中華民族の偉大な復興)を語っていた。西側の多くの知識人も、中国はいずれ米国を追い抜くだろうと熱視線を送った。だがいま中国の夢は、夢のまま終わりかけている。※本稿は、熊谷亮丸『この一冊でわかる 世界経済の新常識2025』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

#17
2025年の中国経済の最大のリスクは米国のトランプ新政権による強硬策だ。トランプ氏の選挙公約である対中60%関税や他国への一律10%関税が実施されば、中国の実質GDPは1.3%減少が見込まれる。25年の中国経済の先行きを展望する。

9月24日に中国人民銀行は一層の金融緩和や住宅市場支援策など追加の景気刺激策を発表した。株式市場は好感したが、家電や自動車の購入支援策などは需要の先食いにすぎず、その効果は限定的と思われる。住宅市場テコ入れ策に目新しさはなく、不動産不況からの脱却は難しい。今後は5%成長死守のため、財政出動など政策を総動員することになろう。

今年3月まで2期10年にわたり中国の首相を務めた李克強氏が10月27日、68歳の若さで死去した。構造改革に重きを置いた李克強前首相であれば、現在の中国経済の足を引っ張る「国進民退」(政策の恩恵が国有企業に集中し、民営企業が蚊帳の外に置かれること)にどのような処方箋を書くのだろうか。

中国経済が減速している。2023年4~6月期の実質GDP(国内総生産)の前年同期比の成長率は6.3%と1~3月期の同4.5%を上回ったが、これは上海市のロックダウンなどで落ち込んだ昨年の4~6月期の反動ゆえである。前期比年率換算では9.1%から3.2%に大きく低下した。消費や投資、輸出は息切れ気味である。5%成長は達成する見込みだが、民営企業への支援なくして本格回復は難しい。

#15
2022年の中国経済は9月時点で3%成長にとどまっており、成長率目標の未達が確実の情勢だ。23年の中国経済は、このまま停滞するのか?一転して高成長なのか?中国経済専門のエコノミストは、中国当局の政策次第で成長率のシナリオが大きく変化すると予測する。

第12期全国人民代表大会では、2015年の政府経済成長率目標が7%前後と、2012年~2014年の目標7.5%前後から引き下げられた。今後中国政府は、経済をどのようにソフトランディングさせようとしているのか。気になる裏側を検証する。

第557回
2014年の中国の実質GDP成長率は前年比7.4%と、2012年、2013年の同7.7%から減速した。かねてより減速が指摘されていた中国経済の行方を、今後どのように見据えたらいいのか。発表されたGDPから“減速”中国経済の真実を読み解く。

第5回
中国はいま、習政権下で、投資・輸出主導から消費を中心とする内需主導型経済への構造転換を図っている。それを下押しさせるものがあるとすれば、不動産価格とシャドーバンキングの行方。この二つに焦点を絞って新年を展望してみよう。

第466回
BRICS首脳会議では、この5ヵ国を中心とする新開発銀行の設立が決定された。さらに中国はアジアインフラ投資銀行の設立を目指している。中国はドル基軸通貨体制へ挑戦するのか。その思惑に迫る。

第427回
16日に発表された中国の第1四半期の経済成長率は7.4%と、政府目標の7.5%とほぼ同じで、市場では安堵の声も広がっている。が、その内実を見ると主要経済指標は軒並み減速。依然として頼みの綱は「輸出」という状況が続く。
