2022年の中国経済は9月時点で3%成長にとどまっており、成長率目標の未達が確実の情勢だ。23年の中国経済は、このまま停滞するのか?一転して高成長なのか?特集『総予測2023』の本稿では、中国経済専門のエコノミストが中国当局の政策を分析し、成長シナリオを予測した。(大和総研主席研究員 齋藤尚登)
2022年の中国経済は目標大幅未達
不動産不況とゼロコロナで下振れ
大和総研では、2022年の中国経済は前年比2%台(以下、変化率は前年同期比、前年比)に失速すると予想している。
3月の全国人民代表大会(全人代)では、22年の政府成長率目標を5.5%前後とした。5年に1度の最重要会議である共産党大会の開催年だからこそ、やや高めの成長率目標を掲げたのだが、全くの未達成に終わろうとしている。
通常であれば、習近平氏への批判が高まってもおかしくない。しかし、党大会を前に習氏は、こうした声さえ上がらないほどに権力基盤を強固にしていた可能性が高い。
また、大和総研では23年の中国の実質GDP成長率を4.5%と予想する。ただし、上下に1.5%程度ブレても不思議ではない。鍵を握るのはゼロコロナ政策と不動産不況の行方であり、前者を決めるのは政治だ。これが予測を極めて困難なものにしている。
中国の実質GDP成長率(四半期)は、22年1~3月が4.8%、4~6月が0.4%、7~9月が3.9%となった。1~9月は3.0%成長にとどまっている。