この夏、久しぶりの海外旅行に出かける人も多いだろう。対面で英語を話すのは久しぶりという人もいるかもしれない。今回は、日本人が抱きがちな「英会話で間違えるのが怖い・恥ずかしくて話せない」気持ちにどう対処するか、英語初心者から上級者までスピーキング力を上げるための3ステップを紹介しよう。(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)
英語に「完璧」を求めすぎる日本人
「英語を話せるようになるには、間違いを恐れてはいけない」と、しばしば見聞きする。
「そんなこと言われても…間違えたら恥ずかしいし…」と思う人も多いだろう。
こうした気持ちに打ち勝つには、どうしたらいいだろうか?
外国人を目の前にして、話すチャンスがあったのに文法や単語の間違いが不安で口を開けなかった――、とりあえず会話し始めてみたものの、聞き役に徹して終わってしまった――、など、自己嫌悪に陥る人も多い。
とはいえ、自分を責める必要はない。日本人が間違いを怖がってしまいがちなのは、仕方のない二つの原因があるからだ。
一つは、「たった一つしかない正解」を前提とする学校教育にあると筆者は考える。
高度成長時代の日本を支えていたこの教育方針は、画一的で優秀な人材を量産するにはベストだった。英語学習でも受験やテストに向けた「たった一つしかない正解」を当てることが重要視された。
だから実践的な英会話でも、「正解」は一つで、それ以外は「不正解」だと勘違いしている人が多い。
間違い恐怖症のもう一つの原因は、人目を極端に気にする国民性だ。個人の価値観に従うというより、「世間の目」で行動を決めがちな日本人。周囲の批判や非難に敏感で、他人の評価を気にして英語の間違いでさえ極端に恐れてしまう。
こう書くと、筆者が日本人の国民性を否定していると誤解されがちなのだが、そうではない。「和を尊ぶ」「謙虚さ」「他人の気持ちを察する」といった、日本人ならではの特質は、世界の人に称賛されるケースも多々ある。いわば「コインの表と裏」であり、ケース・バイ・ケースで強みにも弱みにもなる。
ただし、日本人の好ましい特質が、こと英語を話す時にはネガティブに作用しがちだ。総じて、英会話で間違いを恐れる気持ちは、学校教育と国民性に由来するもの。個人がそう簡単に打ち消せるものではない。
次ページでは、日本人の「英語の間違い恐怖症」を改善に導く3ステップを紹介する。ヒントは、「発想の逆転」だ。間違いを恐れるのではなく、「いかに効率よく間違えるか」「いかに間違えから学ぶことで、より高い成長につなげるか」にフォーカスするのだ。生成AIのChatGPTを使った最先端の方法も添えたので、ぜひ参考にしてほしい。