2019年の上位10路線は
6路線がランク外に

 まずは2019年の東京圏路線ランキング(71路線80区間)を確認したい。ピーク1時間平均混雑率について、コロナ以前は東西線が199%、横須賀線が195%、総武線(各駅停車)が194%の順で、いずれも混雑率は200%近かった。この他、人々が想像する「混雑路線」の代表格、中央線(快速)や埼京線、田園都市線など毎度、おなじみの顔ぶれが並んでいた。

 それが2022年になると様相が大きく変わっている。2019年から引き続きランクインしているのは日暮里・舎人ライナー(5位→1位)、埼京線(6位→2位)、中央線(快速)(8位→6位)、東西線(1位→8位)の4路線のみで、それ以外は新たにランクインした路線・区間だ(京浜東北線は2019年も入っているが方向が異なる)。

 東京圏では長年、平均混雑率を150%以下、個別の混雑率を180%以下にすることを目標に、混雑緩和の取り組みを進めてきた。2019年調査では平均混雑率で13ポイント、個別では11路線が180%を超えていた。

 しかし2022年調査では1位の日暮里・舎人ライナーのみが150%超えで、図らずも100年来の課題であった混雑対策はほぼ解決してしまったことになる。そういう意味では、現在の混雑は「適正値」であり、収支改善を目的にいたずらに輸送力を削減すれば、路線によっては再び150%を超えることになるだろう。今後、混雑率をどうコントロールしていくかは、社会的なコンセンサスを得た上で進めていく必要がある。

 話は戻り、ランク外となった路線の2022年の順位を見てみると、特に横須賀線が34位、総武線(各駅停車)が28位、田園都市線が32位と大きく順位を落としており、また減少幅は横須賀線が71ポイント、総武線(各駅停車)が67ポイント、田園都市線が62ポイントとインパクトが大きい。

 逆に2022年の上位路線が2019年にどうだったかを見てみると、南北線が29位から5位、日比谷線が33位から10位になった。まさに地殻変動である。