2019年比で輸送量が
大きく減少した路線の特徴

 変動した路線とそうではない路線を詳しく見ていこう。

 縦軸を2019年の順位、横軸を2022年の順位として路線・区間をプロットし、補助線を引くと、順位が落ちた(混雑が緩和した)路線は線より上、順位が上がった(相対的に混雑路線になった)路線は線より下に位置する。ここにさらに2019年比の輸送量(輸送人員)が60%未満は赤、60%以上70%未満はオレンジ、80%以上の路線は紺にした。

 なお、混雑率の比較としなかったのは、混雑率は1時間当たりの輸送量を1時間当たりの輸送力(定員×両数×本数)で割って算出するが、コロナ以降の減便で最大1割程度輸送力が減少した路線もあり、輸送量のみで変化を見る方が変化を追いやすいからだ。

 輸送量が2019年比で60%未満だったのは下記の9路線である(順位の後のカッコ内はピーク1時間平均混雑率)。

・ゆりかもめ(汐留→竹芝)
 輸送量46% 73位(103%)→79位(71%)
・根岸線(新杉田→磯子)
 輸送量49% 46位(146%)→76位(78%)
・銀座線(赤坂見附→溜池山王)
 輸送量51% 28位(160%)→61位(87%)
・シーサイドライン(新杉田→南部市場)
 輸送量55% 69位(120%)→65位(92%)
・京葉線(葛西臨海公園→新木場)
 輸送量57% 24位(162%)→55位(102%)
・半蔵門線(渋谷→表参道)
 輸送量57% 17位(168%)→60位(97%)
・横須賀線(武蔵小杉→西大井)
 輸送量58% 2位(195%)→34位(124%)
・東急多摩川線(矢口渡→蒲田)
 輸送量58% 49位(139%)→67位(90%)
・常磐線(各駅停車)(亀有→綾瀬)
 輸送量59% 44位(149%)→54位(102%)

 注目したいのは情報通信、放送や新興企業が多い臨海部の埋め立て地(付近)を走る路線だ。JRでは京葉線、根岸線、新交通システムではシーサイドライン、ゆりかもめ、また上記には含まれないが、りんかい線も輸送量の減少(63%)が大きい。

 地下鉄では渋谷周辺の半蔵門線、銀座線の減少が大きい。渋谷がターミナルの東横線、田園都市線も輸送量は70%前後で、目黒線も含めて順位を20以上下げた。これは渋谷がリモートワーク、時差通勤との親和性が高い情報通信業の集積地であることが影響していると考えられる。