“通勤ラッシュの大地震”で露呈した2つの問題、「大阪北部地震」が残した教訓乗客が集中する朝のラッシュ時間帯を直撃したのは大阪北部地震で初めてであり、いくつもの新たな教訓が得られた。線路を歩いてJR新大阪駅に向かう乗客=2018年6月20日、大阪市淀川区 Photo:JIJI

2018年6月18日に発生した大阪北部地震から、5年が経過した。鉄道の乗客が集中する朝ラッシュ時間帯に直撃した地震から得られた新たな教訓とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

朝ラッシュ時間帯を
直撃した大阪北部地震

 2018年6月18日に発生した大阪北部地震から5年が経過した。この地震では大阪市北区や高槻市、茨木市などで最大震度6弱を観測し、東海道・山陽新幹線とJR西日本・JR東海の計26路線、大阪メトロ9路線、関西大手私鉄計33路線、中小私鉄計10路線が運転を見合わせ、設備の損傷が最も大きかった大阪モノレールが通常運転に復帰したのは23日のことだった。

 大阪北部地震が特異だったのは、大都市部の通勤時間帯に発生したことである。気象庁の地震データーベースによると2001年以降、全国で最大震度5弱以上を記録した地震は308回。うち首都圏1都3県(島嶼部除く)、近畿2府1県、愛知県で観測したのは16回(うち5回は2011年3月)だった。

 その中で午前6時~9時に発生したのは大阪北部地震のみ。夕方のラッシュに影響した地震は、東日本大震災を除いても、2004年10月の新潟県中越地震(17時56分)、2005年7月の千葉県北西部地震(16時34分)などがあるが、特に乗客が集中する朝のラッシュ時間帯を直撃したのは初めてであり、いくつもの新たな教訓が得られた。