国土交通省は7月14日、2022年の主要路線通勤・通学時間帯混雑率調査の結果を発表した。コロナ前の2019年と比べて、今回の混雑率ランキングの上位路線は顔ぶれが大きく変わった。コロナによって、輸送量が大きく変動した路線とそうでない路線には、それぞれどのような特徴があるのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
東京圏の平均混雑率は
コロナ前に比べ40%減少
国土交通省は7月14日、2022年の主要路線通勤・通学時間帯混雑率調査の結果を発表した。調査は2022年10月~11月の1日または複数日の各社の乗車人員データをとりまとめたもので、三大都市圏の平均混雑率は東京圏が123%、大阪圏が109%、名古屋圏が118%だった。
コロナ前、最後の調査となった2019年以降の推移は下記の通りである(左から2019年、2020年、2021年、2022年)。
東京圏 163%/107%/108%/123%
大阪圏 126%/103%/104%/109%
名古屋圏 132%/104%/110%/118%
2020年、2021年と横ばいだったのがようやく上向いた格好だが、東京圏は2019年比で40ポイントもの大幅な減少が続いている。
2022年度第3四半期(10~12月)の関東大手私鉄の対2019年度同期比定期輸送人員は、東京メトロの74%が最小で、京成、東武、相鉄の86%が最大だ。2021年度は東京メトロの69%が最小、東武の82%が最大だったので利用が戻りつつあるといえる。
だが、通勤と通学の内訳を発表している事業者のデータを見ると、通勤定期輸送人員は各社ともコロナ禍以降、一時的な増減はあれどもほぼ横ばいなのに対し、通学定期輸送人員は2020年度第1四半期に20~30%まで減少したのが、2022年度第3四半期には90%前後まで回復しており、基本的には通学利用の増加が混雑率の上昇に影響していると考えられる。
とはいえコロナ前と比較した場合、路線ごとに傾向は大きく異なる。利用が大きく減った路線、比較的少ない路線を見ていこう。