鉄道の運賃政策が大きく変わりそうだ。斉藤鉄夫国土交通大臣は2月8日、大臣の諮問機関である交通政策審議会に対し「今後の鉄道運賃・料金制度のあり方等について」諮問した。ではどう変わっていくのか。鉄道事業者が要望している五つの項目を手がかりに考えてみたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
新たな運賃制度の手がかりとなる
鉄道事業者からの五つの要望項目
現行の運賃制度である「総括原価方式に基づく上限認可制」は、1999年5月に成立した鉄道事業法の一部を改正する法律によって導入された。制度導入から20年以上が経過する中、デジタル化の進展、バリアフリー整備の社会的要請、新型コロナウイルス感染症の影響によるライフスタイルの変化などの社会経済の急激な変革が進んでおり、多様化する利用者ニーズへの対応が迫られている。
また鉄道車内における傷害事件の発生などを踏まえたセキュリティー対策、激甚化・頻発化する災害への対応、鉄道施設の老朽化対策などの安全投資の必要性はますます高まっており、多額の設備投資を行いつつも持続的な運営を可能とするため、鉄道運賃・料金制度について再検証が必要、というのが諮問理由だ。