優秀な上司が「管理しない」理由、部下を伸ばす合言葉は“信賞必罰”写真はイメージです Photo:PIXTA

「管理しない」ことは
部下を伸ばす大前提

 今回のテーマである「部下の実力を最大限引き出すフィードバックの方法」の前に、「正しい社風は、『規律の中の自由』によってつくられる」という話から始めます。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 正しい社風の表現を変えると、管理しない社風です。でも、規律は完全に守らせる。当社は社員を管理しないし、お客さまの会社の中にも管理をしないというところが数多くあります。当社が社員の管理をしないのは、管理の手間が省ける上に、その方が社員の能力を完全に引き出すことができるからです。

 規律と管理は似ているように感じる人がいるかもしれませんが、規律は「ルール」を守らせることです。一方で、管理は“全て”をコントロールしようとすること。言い方を変えると、規律は時間を守る、勤務時間中は一生懸命働くなど行動規範です。行動の大きな枠組みだけを決めておくことです。管理は、部下の一挙手一投足までをコントロールしようとすることです。

 分かりやすい例が軍隊という組織です。軍隊は規律を完全に守らせます。たくさんあるルールの中で生活しているし、上官の命令に背くことはできません。ですが、戦闘状態に入ったとき、最初の「撃て」は上官が命じますが、その後は兵士に任せて撃たせます。上官がいちいち右を撃て左を撃てなどと撃つ順番や方向まで管理しているような部隊は全滅してしまいます。