スペインは独裁者のフランシスコ・フランコ総統が亡くなってから数十年間、極右勢力が台頭する可能性の低い国とみられていた。それはもはや事実ではない。長年野党に甘んじてきた極右政党Vox(ボックス)が、23日投票の議会総選挙後の政権発足に大きな影響力を発揮し得る存在として浮上している。西欧各地で今、わずか数年前には泡沫(ほうまつ)政党と考えられていた国家主義的志向の強い政党が、犯罪追放や伝統的価値観への回帰、福祉の充実、現実に疎いエリート層の権限を奪うことなどを公約に掲げ、政治の舞台の中心へ踊り出つつある。こうした政党が人気を集める背景には、政府が労働者階級の経済的苦境への対処や難民危機の解決に失敗していることがある。一部の国ではロシアの侵攻を受けたウクライナへの「支援疲れ」も極右政党の追い風になっている。