リーマン・ブラザーズの破綻によって、金融機関の本格的な淘汰の時代が始まった。

 ウォール街の象徴であった証券・投資銀行の「高レバレッジ、ハイリスク・ハイリターン」のビジネスモデルは挫折し、1つの時代が終焉を迎えた。そして、銀行、証券だけでなく、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を触媒として、保険会社にも危機は連鎖している。

 すでに公的管理となったAIGのように、一般に保険会社はCDSの売りポジションを持っていることが多い。CDSの売り手は、信用リスクが上昇すれば損失が膨張し、破綻に至れば膨大な支払い義務が発生する。ハートフォード、メットライフ、プルデンシャルといった保険会社の株価が急落しており、市場の懸念は深まっている。

 「デリバティブの負のリンク」で破綻懸念は高まっているが、今回の金融安定化法案が実効性を伴うものか否かは未知数だ。最大のネックは、不良債権処理の特効薬である「公的資金注入」の条項が欠落していることである。

相場の底打ちはまだ先