「炎上」の9割はジェラシーでできている

アンチだろうと絶対にブロックしない

――最近の若い人って、すごく炎上を恐れるらしいですよね。それ、黄さんは経験者としてどう対応しますか。

黄皓（こう・こう）
4代目バチェラー。ミラーフィット株式会社代表取締役
中国湖南省出身。10代で来日し、早稲田大学卒業後、三菱商事に入社。貿易事業を担い、メキシコに駐在する。その後独立し、日中間において北米・アフリカからの資材輸入を行う貿易物流会社の代表取締役、全国で20店舗以上展開するパーソナルジムの経営者を務める。2020年7月にミラーフィット株式会社を創業。スマートミラーデバイス「MIRROR FIT.」を通して、オンラインフィットネス事業を展開。3社で250名以上を束ねる経営者として活躍する。2020年、Amazon Prime Videoの大人気恋愛リアリティショー「バチェロレッテ・ジャパン」に参加。パートナーの最終候補となる。2021年「バチェラー・ジャパン・シーズン4」にも参加し、注目を集める。地上波放送をはじめ、雑誌、WEBなど多数のメディアに出演。著書に『超完璧な伝え方』（ダイヤモンド社）、『異なる勇気』（KADOKAWA）。

黄　人が人を叩く理由って、二つしかないと思っているんですよ。見下すか、うらやましいかです。いずれにしても、どっちかしかないんですよ。対等に思う人間ってほぼいない。だとすると、僕はひたすらうらやましがられるほうの炎上をしてやろうと思っています。

――なるほどね。そうですよね、炎上ってほとんどジェラシーですもんね。

黄　この間、企業名は言わないですけど、とあるとんでもない企業の社長さんと面談することになって、天上人みたいな方ですよ。キャッシュで1000億ぐらい持っている。で、その方もネットでめっちゃくちゃ叩かれてたんですけど、「黄君、炎上とかまだ気にするんだね」みたいな。「俺、炎上記事見るたびに、手の届かない存在になっていってるのを感じて、すごく幸せだ」って。天上人思考だ、みたいな。だから、悩んでいる僕って、まだしょせん誰かと同じステージにいると自分が認識しているから苦しくなっちゃうんですけど、ぶっちゃけ、アンチが「死ね！」って僕のことを言ってても、「あ、がんばれ～」ってなればいいなと思ってるんです。

南　『超完璧な伝え方』にも、アンチとの付き合い方って書いてありましたよね。

黄　僕、アンチは基本的に絶対ブロックしないんですよ。今回もツイッターでめちゃくちゃ炎上しましたけど、僕の悪口書いている人、誰もブロックしてないし、誰もリツイートもしないし。DMでもいっぱい連絡来るんですけど、誰にも返事もしないです。なぜならば、僕のことをそれだけ時間をかけてけなしてくれるっていうことは、僕に夢中なんですよ。ということは、その彼らが納得する行動がこの先一瞬でもあると、とてつもないファンになる可能性がありますので。ここで踏み潰してしまったら意味がないじゃないですか。

南　一方、私の拡散力は黄皓の1000分の1ぐらい。まだまだ弱いんですね。だから炎上しない。逆にそれが怖い。これを「逆デジタルタトゥー」って勝手に呼んでいるんですけど。みんなデジタルタトゥーを恐れて、SNSの投稿が怖いと言うんですが、むしろ逆です。炎上しないってことは、拡散力が弱すぎることの証明になっている。「アンチがいない」ことに、僕は恐怖心を感じています。発信力の弱さを反省して、アンチが出るぐらいの存在にならないといけないな、もっと頑張ろうと思っています。

黄　なんか発信者の理想の状態を言うとね、「好かれている」がやっぱり上なんですよ。で、その次に「嫌われている」が来るはずなんです。で、一番やっちゃいけないのは、「無関心」。

南　一番怖いですね。誰にも見られないことは。

黄　ここになった時点で終わりですね。だから、この嫌いと好きの間に残っている分には、発信者としては成功なんです。誰かを好きにさせるのも嫌いにさせるのも、けっこう難しい。

南　難しいですね。基本、人は無関心だから。

黄　僕、「ダウンタウンデラックス」に出るたびに、ものすごいアンチが湧いてきますもん。「てんちむのほうがもっと金持ちだ」とかって、お前、てんちむの何やねん、みたいな（笑）。やっぱりメディアに出たときに必ず意識しているのは、記憶に残らない言葉じゃなくて、記憶に残る何かって決めてるんですよ。ポジティブがいいんですけど、残念ながらポジティブよりネガティブのほうが拡散はされる。でも個人的にはネガティブで拡散されたほうが実はよくて、人間っていうのは期待値コントロールですべてできているので。芦田愛菜ちゃんが言ってましたけど、「誰かを嫌いになるのは、その人が想像していた人じゃなかった」からという話で、想像を下げればいいんです。だから、知られるときに悪い人間だと認識されたほうが、拡散もされるし、ハードルも低い。こんなクソ人間だと思っている中で、1、2個いいことをしたら、「あれ？思ってたよりもいいやつやん」っていう。

南　ハードルは最初から低いほうが得するね。

南祐貴／セカニチ（みなみ・ゆうき）
Koru-workers 株式会社代表取締役
1989年東京都調布市生まれ。2012年に大手広告代理店に入社。6年勤めて、自由になるため退職・起業。クラウドファンディング等で資金を集めて高輪ゲートウェイ駅の近くに宿泊施設「Koru Takanawa Gateway」をオープン。同時に、経済や投資をわかりやすく解説する「#世界最速で日経新聞を解説する男（セカニチ）」を開始。マイナビ・ジチタイワークス等の就活・キャリア・資産運用セミナーにて満足度90％を超える人気講師。年間のセミナー視聴者数は延べ5万人以上。各SNSで毎日発信中、総フォロワー数は10万人を超える。YouTube しゅんダイアリー就活チャンネル等の全SNSの動画は合計4000万再生以上。著書に『世界一面白くてお金になる経済講座』『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』（ともにダイヤモンド社）。

黄　だから僕を、好きでフォローする人もいるし、アンチでフォローする人もいるんですよ。でも、僕のインスタを毎日見てたら、絶対めっちゃ僕のこと好きになる。「芯通ってるなあ」、「いい人だなあ」みたいな感じになれば超いいですよ（笑）。

南　そこまで行くのは一般人からすると難しい。やっぱり「バチェラー」、「バチェロレッテ」でプレゼンテーションのプロとして結果を残したのは、普通の人には真似できないですね。だから尊敬しています。

黄　1冊目の本のタイトルは『異なる勇気』で、やっぱり人と違うことが誰かの目を引くし、日本では出る杭を打ちたくなるんだけど、でも、杭って高い所まで行っちゃうともう打てなくなっちゃう。飛び抜けちまえばいいって思ってるんですよ。

――最後に何か言い残したことはありますか。

黄　ない（笑）。でも僕は、南が嫌いだというのは冗談ですけど、南の活動は好きなんです。

南　ありがとうございます（笑）。これからも一緒に発信活動をがんばろう。

黄　南と僕は思っていることやりたいことに近しい部分があるので。今回はこういう対談という形でね。たまたま僕ら、書いている本の内容が同じビジネス本でも違ったのですが、また南とは一緒にぜひ、日本の経済を変える取り組みみたいなものを、本という形だけじゃなくても、メディアを通してやれたらなと思います。その過程で、主婦がちょっとでも「お金って何だっけ？」を意識する発信みたいなものは、もっとやっていきたいなと思いますね。