明幸が本店として登記している東京・板橋区のマンション明幸が本店として登記している東京・板橋区のマンション(筆者撮影)

建築工事会社の「明幸」は5月26日、東京地裁に破産手続き開始を申し立て、6月14日に開始決定を受けた。負債は10億5200万円で、東京商工リサーチによれば今年上半期(1-6月)の全国の建設業倒産のうち、負債額で3番目の大きさだという。その破産申立書を入手したところ、暴利ともいえるヤミ金に手を出して資金繰りが急速に追い詰められていくさまが生々しく記述されていた。(東京経済東京本部長 井出豪彦)

ヤミ金に手を出して経営破綻
報告書に書かれた生々しい経緯

 明幸がヤミ金に手を出し、資金繰りが急速に追い詰められていく経緯について、記載があるのは代理人弁護士名で書かれた「報告書」という文書。明幸の代表(49)からのヒアリングや入出金記録に基づき6ページにわたって破綻に至る経過がつまびらかにされている。以下はこの報告書に沿って、一部筆者が補足を加えながら、倒産に至るカウントダウンを見ていきたい。

 明幸は2001年に現代表により創業、設立された。もともとは解体工事を主力事業としていたが、13年頃から建築工事の分野にも手を広げ、官公庁からの元請けや総合建設業者からの下請けで、最盛期の21年7月期の売上高は13億5100万円となった。直近期の22年7月期は10億6100万円に低下したが、どちらの期も黒字決算だった。

 この間、20年4月にメインバンクの某地銀系のコンサル会社の勧めで静岡県内に本社のある同業のY社(報告書では実名、以下も同様)を1億円で買収したのが、経営の傾くきっかけになった。